トマトの美肌効果を栄養士の視点で徹底解析!
「トマトが赤くなると医者が青くなる」「医者いらず」などと言われるように、トマトにはカラダに良い栄養素が豊富に含まれています。
-トマトについての小話-
トマトは、16世紀のヨーロッパでは毒リンゴと呼ばれて、有毒な植物と言われる時期があったり・・・
1893年にはアメリカでトマトが果物なのか野菜なのかという裁判が行われたり・・・
1990年までは、ナス科トマト属の植物とされていましたが、色んな研究結果からナス科ナス属に分類されたり・・・
と、色んな変遷を辿ってきたトマトですが、栄養価の高さや健康に良いということは変わらず親しまれています。
因みに裁判の結果トマトは野菜ということになり、フルーツトマトなどともいわれますが、世界共通でトマトは立派な野菜だと認識されていて、実は世界でもっとも生産量の多い野菜です!
そんな色々と面白い感じのトマトを管理栄養士と美容販売の立場から、美肌や美容の面から解説していきますので、トマトを美肌に活用していきたい方はぜひ参考にしてみてください。
トマトの美肌に効く栄養素
率直に言いますと、トマトは美肌に効く栄養素が豊富に含まれいている食材です。
- リコピン
- β-カロテン
- ビタミンC
- ビタミンE
- カリウム
- 食物繊維
京都大学がトマトに含まれる「13-oxo-ODA」という物質が脂肪燃焼効果を高めるという研究成果を発表しているので、ダイエットしたい方にもおすすめです!
なぜトマトが美肌にいいのか
それでは、トマトに含まれる栄養素はどのように美肌効果があるのかを解説していきます。
リコピンの美肌効果
トマトの栄養素といえば、まずリコピンが頭に浮かぶ方も多いと思いますが、リコピンには生活習慣病や抗老化作用などの効果があるといわれているものの、まだ全容が解っていない未知のパワーをもった野菜だともいわれています。
肌は、常に紫外線などの外的ダメージや、腸内環境の悪化などの内的ダメージにさらされていて、カラダを錆びさせたり老化させる作用のある活性酸素の影響を大きく受けています。
リコピンはこの活性酸素を抑える抗酸化力に優れていて、ビタミンEの100倍もあるといわれています。
カラダの中に活性酸素が増えると、コラーゲンをつくる働きが弱くなりシワの原因となったり、メラニンの量が増加してシミの原因になるので、活性酸素を抑制することによって、シワやシミの改善が期待できます。
β-カロテンの美肌効果
緑黄色野菜などにたくさん含まれている β-カロテンは、美肌効果の高いビタミンAに変化します。
ビタミンAの美肌効果は、
- 細胞損傷の修復 ダメージを受けた細胞を修復してシワやたるみ修復やシミ予防。
- ターンオーバーの正常化 肌再生のターンオーバーを整え肌荒れの改善やムラ肌を調整。
- 肌成分の生成促進 肌の土台を構成するコラーゲンやエラスチンの生成促進によりシワやたるみ改善。
になります。
ビタミンAの美肌効果はビタミンの中でもトップクラスになるのですが、ビタミンAの直接の過剰摂取はカラダに貯蔵されすぎて体調不良を起こすことがあるので注意が必要な栄養素になります。
これに対して、トマトに多く含まれるβ-カロテンに関しては過剰摂取にはならず、必要な分だけビタミンAへと変わるので安心して食べていただくことが可能です。
ビタミンAが多く含まれている食品は、豚レバー・鶏レバー・鰻・バター・鶏卵などになります!
ビタミンCの美肌効果
ビタミンの中で美肌といえばビタミンCというイメージが定着している様にビタミンCにもしっかりと美肌効果が期待できます。
- メラニン生成の抑制 シミやくすみの大きな原因といわれるメラニン生成の抑制や活性酸素分解により美肌効果。
- 肌のハリアップ 真皮層のを構成するコラーゲンの生成を促進し肌の弾力アップにより小顔効果。
- 毛穴をとじる 皮脂分泌を低下させ毛穴の開きを抑制しキメ細かい肌づくり効果。
これら以外にも、免疫アップや疲労回復効果も期待でき、健康的な日常生活を送れるようになるので、健康的な肌を保つことにも繋がっていきます。
ビタミンEの美肌効果
ビタミンAやビタミンCなどの美肌効果の高いビタミンの様にメジャーではありませんが、トマトにも含まれるビタミンEは美容大国の韓国で若返りの栄養素として注目を集めています。
ビタミンEには血行促進効果や肌のバリア機能を強化する働きがあるので、お肌の新陳代謝を活発にして健やかな肌づくりのサポートに繋がったり、乾燥によって生じる細かな小じわやシミのできやすい肌環境をまもってくれます。
その他にも、冷え性改善や生活習慣予防などのサプリメントに効果的なビタミンとして配合されているので、健康のマルチビタミンという感覚での美肌効果になります。
カリウムの美肌効果
トマトに含まれるカリウムはミネラルに分類される栄養素で、カラダの中ではほとんどが細胞内液に存在しており、細胞外液に存在するナトリウムと一定のバランスを保って健康維持を行っています。
カリウムはナトリウムとのバランスをとる過程で、過剰なナトリウムを排泄する機能があるので、ナトリウム過剰摂取によるむくみを予防する効果があります。
むくみは血流を悪くするなど、カラダの循環を悪化させる要因になり、肌の新陳代謝ダウンに繋がり肌荒れやシミの原因となるので、カリウムを摂取してむくみを解消することが美肌に繋がっていきます。
腎機能障害がある方がカリウムを摂取しすぎると腎臓のろ過が追いつかず「高カリウム血症」などを起こす可能性がるので注意してください!
食物繊維の美肌効果
便秘を改善する栄養素として人気の高い食物繊維ですが、腸内環境を整えることは美肌にもすごく大切なことです。
腸内環境を整えるためには、腸の善玉菌を増やすことが重要で善玉菌のエサとなるのが食物繊維やオリゴ糖になります。
善玉菌を増やして腸内環境がよくなることによって栄養素の吸収がアップすれば、美肌に必要な栄養素をカラダの中にしっかりと取り込むことができますし、悪玉菌の増殖によるニキビや肌荒れを防ぐことも可能になるので美肌効果へと繋がっていきます。
美肌におススメのトマトの種類
トマトの種類は大きく別けると3つに別けられます。
トマトの種類の分け方は基本的に大きさで、
- 150g以上だと大玉トマト=一般的なトマト
- 40g~150gだと中玉トマト=ミディトマト
- 40g以下だと小玉トマト=ミニトマト
に分類されます。
美肌におけるおすすめのトマトの種類としてはミニトマトです。
一般的に流通しているトマトとミニトマトの栄養素を比較すると以下の様になります。(いずれも100gあたりの可食部の栄養成分)
ミニトマト | トマト | |
リコピン | 8.1mg | 3.0mg |
β-カロテン | 960μg | 540μg |
ビタミンC | 32mg | 15mg |
ビタミンE | 0.9mg | 0.9mg |
カリウム | 290mg | 210mg |
食物繊維 | 1.4g | 0.7g |
表をみていただくと解るように、トマトに比べてミニトマトの方が、特に美肌効果の高い「リコピン」「β-カロテン」「ビタミンC」の含有量が2倍以上多く、それらの美肌成分に関しても、ミニトマトの方が多く含まれています。
もちろんトマトの美肌効果も他の野菜に比べると高い水準になっているので、トマトを食べるのでもいいのですが、ミニトマトを食べた方がより美肌効果が高いのですおすすめです。
美肌によいトマトの食べ方
トマトでも何でもそうですが、栄養食材を摂取する時には、食材に含まれる栄養素を失ってしまわないように、出来るだけ栄養素が吸収出来るように摂取することが大切です。
今回は、トマトとミニトマトの2種類それぞれのおすすめの食べ方のポイントをご紹介します。
ミニトマトの栄養を効率的に摂取するポイント
一般的なミニトマトの食べ方として多いのは、下手をとった状態でメインディッシュの脇に盛りつけられていたり、サラダの上にのっていたり。
丸ごとか半分に切ってある状態で置いてあることが多いのですが、ミニトマトの皮は思っている以上に硬いので消化吸収しにくい類になっています。
POINT ① 刻んで食べる
皮や細胞壁を壊して細胞の中に含まれる栄養素をしっかり吸収できるようにするために、細かく刻んで食べることがポイントです。
POINT ② 油と絡める
ミニトマトの皮が厚いのには理由があって、それは抗酸化になります。
抗酸化作用の高い皮を破壊することによって抗酸化力が弱くなって、空気に触れている間はずっと酸化し続けるということになってしまいます。
これを防ぐために刻んだ後にオイルと絡めてあげることです。
オイルに絡めることによって酸化防止にも繋がりますし、トマトに含まれる美容成分のリコピンは油に溶けやすいという性質もあるので、一緒に摂取することによってカラダの中への吸収率がアップしてくれます。
オイルに関しては、酸化を防ぐという観点からいくとどんなオイルでもいいのですが、美肌に繋がる栄養面からいくと「アマニ油」「エゴマ油」がおすすめです。
トマトとの相性でいくと、イタリアンなどでも広く使用されている、トマトとオリーブオイルという組み合わせがベストだと思います。
POINT ③ 調理方法は臨機応変
トマトを加熱すると生の状態よりもリコピンの吸収率がアップするので、炒めたり蒸すなどの加熱調理がおすすめですが、ビタミンCは熱に弱いという特性もあるので、加熱することによってビタミンCの恩恵が減ってしまいます。
自分の欲しい美肌効果によって調理方法を変えたり、気分によって調理方法を変えて、臨機応変に調理するのがおすすめです。
私のイチ押しは刻んだミニトマトにオリーブオイルと塩と胡椒をからめてサラダに載せて食べることです!
トマトの栄養を効率的に摂取するポイント
トマトもミニトマト同様に刻んだり、油と絡めたり、加熱するなどによって栄養素の吸収が高まり美肌効果もアップしていくので、基本的にはミニトマトのポイントを頭にいれておいてください。
その上でトマトならではの効率的な栄養摂取のポイントがあります。
POINT 潰して加熱
リコピンは細胞の中に存在する物質なので、潰して砕いて熱を加えるのが最もリコピンの吸収力が高まります。
ミニトマトの場合は皮と実の部分の割合や皮の厚さからペースト状にすることが難しいですが、トマトの場合はこれができます。
トルコのサルチャや、パスタでお馴染みのミートソースなどペースト状にして食べるトマトは、リコピンをしっかりと摂取するのに適した食べ方になります。
サルチャはペースト状にしたトマトを天日干しで発酵させるので酸味など独特な味ですが私は大好きです!
美肌に良いトマトの選び方
美肌によいトマトの選び方で大切なことは、栄養価が高い状態のトマトを選ぶことです。
まず大切なのがトマトの旬を知ること。旬の時期は美味しいというのもありますが、栄養価がたっぷりというメリットもあります。
実は夏じゃない!トマトの旬
炎天下の太陽の下で真っ赤なトマトが実っているイメージがあるので、トマトの旬は夏の様な感覚がありますが、実はトマトの旬は、春から初夏と秋から初冬が1番美味しい旬だといわれています。
トマトの旬:初夏・秋から初冬!
実は、トマトはイメージと違って真夏の暑さや日差しが苦手で、苦手克服のために通常よりも水分をたっぷり含んでいます。
そのため味的には薄いモノになり、栄養価も少し落ちてしまいます
どうせ食べるなら美肌栄養素のたくさん詰まった旬の時期に食べたいですね。
スーパーや八百屋さんなどでトマトを購入する時に、少しでも美味しいものや、少しでも栄養価の高いモノを選びたいのですが、そんなトマトを選別するポイントもご紹介しておきます。
POINT ① ヘタが枯れてなくて元気なモノ
新鮮なモノや美味しいトマトはヘタがピンとしているのに対して、鮮度や味や栄養が落ちているトマトは、ヘタがしおれたり枯れてしまったりしています。
まずは、ヘタの元気さをチェックしましょう。
POINT ② 丸くてハリが良くキレイな赤色
赤みと丸みを帯びたものが完熟に近い状態で収穫された可能性が高く、美味しさや栄養価が詰まった状態です。
赤みがくすんでいたり、パンとしたハリがない場合は、旨味や栄養価が落ちている可能性があるので、しっかりとチェックしていきましょう。
皮に白い小さな斑点が無数にある場合は、水っぽい状態のモノが多いので要チェックです!
POINT ③ スターマーク
一般的にスターマークといわれているのが、トマトのヘタと反対側から中央に向かって放射線状に線が入っているもので、この線が濃く均等で伸びていると美味しくて栄養価の高いトマトだといえます。
この線が入ってない場合は、酸味が高い可能性が高いので、料理に酸味が欲しい時はスターマークのないトマトを選ぶのもいいかもしれませんね。
POINT ④ 重みのあるトマト
真夏のトマトで水分がギュッと詰まっている時は判別が難しいのですが、基本的にトマトは重みのある方が実が詰まって栄養価の高いトマトだといわれています。
軽いトマトの場合は、食間が硬くなっていることが多いので、美味しさや栄養価よりも食べにくさが厄介になるかもしれません。
出来るだけ重みのあるどっしりとしたトマトを選ぶようにしましょう。
美肌づくりに黄信号なトマト
これまでトマトの美容効果や健康効果などを解説してきましたが、加工工程などによりトマトの栄養素はありつつも、カラダへの悪影響を与えるモノもあるので、少し解説を加えさせていただきます。
健康に悪影響があるトマト加工品を、トマトだからと過信してしまい、過剰摂取することを危惧してのご紹介となります!
市販のトマトジュース
色んなメーカーからトマトジュースが販売されていて、どれがよくてどれが悪いという訳ではないのですが、基本的に水分はとまっていると腐りやすいという大前提があります。
例えば、山で遭難して水がない時に、池の水よりも小川の水の方が飲めそうな感じが直観的に解りますよね。
現実的な例でいくと、冷蔵庫の収納スペースを考えた時に水分系のモノは、開き戸に置くようになっていますよね。
これは、少しでも水分を動かしてとまっている状態を少なくして腐らない様にという考えからそうなったといわれています。
トマトジュースに限らず、飲料関係はつくられてから一定期間倉庫に眠った状態ですので、どうしても腐らない様にするために防腐剤などが含まれいています。
日本の添加物の基準の甘さは世界一ともいわれていて、世界的にみると危険という見方もされているので、トマトだからといって過信して毎日飲み続けたりすると、腸内環境の悪化などカラダに弊害が現れる可能性があるので注意が必要です。
トマトスムージー
スムージーにすると健康的に野菜などの栄養素がとれるという様な認識が広がっていますが、スムージーはちょっと気をつけないといけないモノになります。
トマトなどの野菜に含まれる3大栄養素で最も多いのが糖質ですが、糖質は事前消化として唾液の中に含まれるアミラーゼという酵素としっかり合わせなければいけません。
その為には咀嚼(そしゃく)が必要になってくるのですが、スムージーは飲み物になっているので噛む必要がありません。
流動食などいっけん消化がよくて胃腸に優しいというイメージがあるのですが、消化酵素が働いていない状態で胃腸におりていってしまうので消化には悪いといえます。
また、固形の食べ物を食べると蠕動運動が起こり、食べ物を移動させながら消化吸収を行うのですが、流動系のモノが多くなってしまうと、蠕動運動などの機能低下にも繋がり、腸内環境の低下を招き、結果美肌とは逆効果にもなりかねないので注意が必要です。
トマトケチャップ
トマトケチャップはまさにトマトが丸ごと入っている感じなので、トマトの栄養素がたっぷりはいっていて健康に良さそうな感じがしますね。
もちろん成分表示をみていると、トマトが1番最初に書いてあるので、トマトの成分や栄養素がしっかり含まれていることは間違いありません!
ただ、気をつけないといけないことは、成分表示の2番目に記載のある糖類です。
2番目に記載があるということは、それだけたっぷりと入っているということで、その糖類の中に多く含まれている「ブドウ糖果糖液糖」という糖分がカラダに悪影響を与えることが解っており、アメリカなどでは使用制限が広がっているほどです。
ブドウ糖果糖液糖などは異性化糖と呼ばれ、これらを摂取すると分解や吸収がうまくいかずに不要なエネルギーをつかい、本来カラダの新陳代謝に必要な機能が低下するなど、せっかくトマトの良い成分を摂取しても大きな代償を背負ってしまうことになってしまうので、注意が必要です。
トマトの栄養価によって健康的に美肌効果を目指すには、楽をせずに手間をかけないといけないということが言えますね!
まとめ
トマトと美肌の関係について色々とお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?
世界で最も生産されているトマトだけあって、健康効果や美肌効果がたっぷりと詰まっています。
リコピンやビタミンCをはじめ、美肌に効果的な栄養素がたっぷり含まれているのは嬉しいポイントですね。
摂取方法やトマトの選び方に意識をおきながら、食べる様にしていけばさらなる美容効果にも繋がっていくのでぜひ参考にしながら、トマトによる美肌生活はじめてみましょう。
トマトをはじめ色んな野菜や果物などにもいえることですが、やはり加工食品は衛生上の問題などから保存料や添加物が含まれていることが多く、その食材のもつ健康成分よりも、添加物などの弊害の方が上回る可能性があり、美肌とは逆効果になることも多々ありますので、その部分は注意しながら取り組むようにしていくことをおすすめします。